2023-11-19 00:00:00

施 ~遊煩悩林~

いま感じたことを





こんにちは。

ご機嫌いかがですか。

株式会社五識の田中です。


今日はふと感じたことを書きます。


テーマは「施」。

  • おこなう。実行する。
  • ほどこす。もうける。
  • めぐむ。めぐみあたえる。
  • しく。広く行き渡らせる。

などの意味を持つ言葉です。


現代では、「ほどこし」という言葉に「上から目線」「与えてやる」のニュアンスが含まれているように感じます。

強者が弱者に、富める者が貧しき者に、という二元論に絡め取られているようです。



わたしは、「施」の本当の意味は「幸せのおすそわけ」だろうと思っています。

ちょっと田舎に行けば、「近所の人から○○もらったから、よかったら(あなたも)もらってください」という「おすそわけ文化」は未だに残っていませんか。


たくさんもらっても自分では処理しきれないから「もったいない」という心理が働くのでしょう。

とてもエコ(eco)で、SDGsの本質的な行いではないでしょうか。


電車などで見かけますが、SDGsのバッジをつけていても、他人を思いやれない人間は少なくないと思いませんか?

二十年くらい前には「勝ち組」や「負け組」という言葉がもてはやされたように、手に入るモノは何でも手に入れることが「是」とされた時代もありました。

未だにその感覚(ego)で生きている人も多いようですが、たしかに時代は変化しつつあると思います。


本来は行政が行うべきコトを「ボランティア」に任せていることには納得できませんが、本来のボランティアは、やはり「幸せのおすそわけ」でしょう。

(ほとんどの人は)おすそわけに見返りを求めることはないと思います。


敬虔な仏教信者であった宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節には「無財の七施」の考え方が現れています。


東ニ病気ノコドモアレバ

行ッテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ

行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ

南ニ死ニサウナ人アレバ

行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ

北ニケンクヮヤソショウガアレバ

ツマラナイカラヤメロトイヒ


「無財の七施」とは……

  1. 眼施(げんせ)やさしい眼差しで人に接する
  2. 和顔悦色施(わげんえつじきせ)にこやかな顔で接する
  3. 言辞施(ごんじせ)やさしい言葉で接する
  4. 身施(しんせ)自分の身体でできることを奉仕する
  5. 心施(しんせ)他のために心をくばる
  6. 床座施(しょうざせ)席や場所を譲る
  7. 房舎施(ぼうじゃせ)自分の家を提供する


わたしは凡夫です。

敬虔な仏教徒といえるほど、ストイックな生き方もできていません。


笑うのが下手だと言われます。

どちらかというと言葉遣いはキツいです。

自分の家を提供するほど心の余裕はありません。


幼いころ、120円を握りしめて、コカ・コーラの瓶を買い求め、うれしさのあまり、途中で落として割ってしまうような凡夫です。

せめて、1.2.3.4.5.くらいはできるような人間になりたいと思います。



いまのわたしは、

近所の子どもが1枚の硬貨を握りしめて、飲みたいジュースを飲めるように、自動販売機の価格を「一般価格より安く」設定するくらいしかできません。


「そんなのは自己満足にすぎない」という声も聞こえてきそうです。

たしかに自己満足なのかもしれませんが、今まで生きてこられたことに対する「幸せのおすそわけ」だと思っています。



「施」の本来の意味のように、「幸せのおすそわけ」が「広く行き渡る」世の中になれば、もう少し過ごしやすい世の中になるのではないでしょうか。





最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

またお会いしましょう。